引っ越し作業というのは、やる前の想像以上に荷物が多くなることがあり、また搬出や搬入作業は非常にきつい作業です。
ところが、素人にはとても無理に思えるような分量の仕事であっても、プロの手にかかるとあっという間にやってくれます。
私は本が好きなのですが、荷造りをしてみると本や雑誌などの書籍類はかなり重いです。
小さな段ボール1箱であっても、本は他の荷物とは比較にならないくらい重いのです。
こういった重たい荷物であっても、引っ越し業者の従業員たちは汗だくになってでもどんどん運び出してくれますし、運び入れるにも場所を確認しながら次々に運び入れてくれます。
仕事とはいえ、自分のために汗をかいてくれているわけですから、何らかの感謝の気持ちを伝えたいと考えるのは、むしろ当然の気持ちと言えるでしょう。
とはいっても、日本では欧米などのようにチップを渡すという習慣がありません。
旅館で仲居さんに「心づけ」を渡すという習慣は今でも一部で残っていますし、庭木の手入れや家の修繕などでは職人さんたちに途中でお茶を出すことも日常的に行われています。
そういった感覚で引っ越しの従業員の人たちに何か差し入れを渡してあげたいと考えました。
旅館の仲居さんに渡すような「心づけ」のお金を渡すことも考えられますし、お茶やペットボトルの飲料などを差し入れしたいと思うこともあります。
ただ、日本の引っ越し業では従業員に対して、請求書に記載していない金品を渡す必要は一切ないとされていることが多くあります。
というのも、心付けを現場のリーダーに人数分渡したのに、リーダーが全額着服してしまったり、そういうことをしたのではないかという疑念に従業員たちがとらわれてトラブルが発生したりしたからです。
こういった無用なトラブルを避けるために、業者のなかには現金だけでなく、差し入れも断るように指導しているところもあります。
ペットボトルなど軽いものを差し入れしよう
ただ、まる1日かかる作業を一生懸命やってくれる従業員たちに、少しでも感謝の気持ちを形として表現したいという思いがあったので、飲料くらいなら良いと考えました。
引越し業者の従業員たちは、基本的に引っ越し作業以外でお客さんの家に上がり込むことが禁じられています。
まる1日かかる作業では、途中に休憩をはさむことがあります。こういったときにペットボトルの差し入れをする程度は大丈夫でしょう。
私は悩んだ結果、リーダーらしい人に相談してみました。お茶くらいは差し入れしたいのだがと伝えたところ、気持ち良く受け取ってもらえました。
定番の商品で、買いやすいものというと、やはりお茶でしょう。500ccサイズのもので良いでしょう。大きいサイズはかえって邪魔になります。
甘いドリンクや炭酸飲料よりも、一気に飲むことができるお茶は喜ばれます。
タイミングは従業員たちの休憩時間
引っ越し作業でも、建設現場などと同じように午前10時、昼、午後3時には休憩します。
その場のリーダーのやり方にもよりますが、だいたいこの時間には従業員たちは休憩を取ります。このくらいのキリの良い時間にお茶を差し入れするのは良いやり方でしょう。
意外なことですが、冬であっても実際には冷たい飲料の方が喜ばれます。
引っ越し作業は肉体労働ですので、冬でも従業員たちは汗びっしょりになります。こちらが気を利かせてホットの飲料を差し入れしてもあまり人気がないということがあります。
また、コーヒーは一気飲みに向かないので気をつけましょう。なかにはコーヒーをガブ飲みすると気分を悪くする人もいます。冬であっても冷たいお茶が定番と覚えておきましょう。
もらってうれしくない人はいません!
引っ越し料金には、当然従業員に対するサービス料も含まれています。
従業員たちは、自分たちの出した引っ越し代金から給料をもらっています。ただ、目の前で実際に汗を流して働いてくれている従業員たちにお礼や感謝の気持ちを伝えることは、悪いことではありません。
差し入れという形で気持ちを形で表現されてうれしくない人はいません。従業員の方は、差し入れがあろうがなかろうが、作業の質を変えることはありません。日本ではチップの習慣は根付いていないので、当然でしょう。
ただ、自分たちのためにわざわざ何かの差し入れをしなければいけないと思ってもらえた気持ちはうれしいものでしょう。
「よろしくお願いします」
「ありがとうございました」
などの気持ちを伝えることは、今後の従業員たちのやりがいにもつながるはずです。かといって、無理に何かを用意することもありません。あくまで感謝の気持ちの表現です。
引っ越し業者によると、単身者の引っ越しでは差し入れや心付けをもらうことは少なく、高齢者や自営業の人からは心付けをもらうことが多いという話です。
また、新築、新婚での引っ越しは祝い事でもあるため、引っ越しの従業員にも手厚いということです。
また、飲料は喜ばれますが、食品の差し入れはあまりうれしくないことがあるというのは覚えておきましょう。
ペットボトルのお茶は賞味期限が長いですが、食品は賞味期限が短いため、渡されても負担に感じるということです。